【2025年最新版】確定申告の必要書類完全ガイド:ケース別に詳しく解説
【2025年最新版】確定申告の必要書類完全ガイド:ケース別に詳しく解説
確定申告の時期になると、「どんな書類が必要なの?」「この控除を受けるために何を準備すればいい?」といった質問が多く寄せられます。確定申告を円滑に進めるためには、必要な書類を事前に準備しておくことが非常に重要です。
この記事では、2025年の確定申告で必要な書類を、さまざまな状況やケース別に詳しく解説します。書類の入手方法やポイントもご紹介しますので、確定申告に向けて万全の準備を整えましょう。
※確定申告の提出方法(e-Tax、郵送、窓口提出)については、こちらの記事で詳しく解説しています。
この記事でわかること:
- 12025年確定申告の書類準備における変更点と注意事項
- 2所得・控除別の必要書類一覧とその入手方法
- 3納税者タイプ別(給与所得者・個人事業主・年金受給者)の必要書類
- 4書類の整理・保管方法と有効活用のコツ
2025年確定申告の書類準備:変更点と注意点
2025年(令和7年)の確定申告では、いくつかの重要な変更点があります。書類を準備する前にまず押さえておきましょう。
2025年からの主な変更点
1 収受日付印の廃止
2025年1月から、申告書等の控えに対する収受日付印の押印が廃止されました。
- ● 影響:書面で提出する場合、控えに収受印が押されなくなります
- ● 対応策:特定記録郵便の利用、自身で控えの作成・保管、提出年月日の記録
2 添付書類提出の簡素化
マイナポータル連携の拡大により、一部の添付書類の提出が不要になりました:
- 給与所得の源泉徴収票
- 年金の源泉徴収票
- 一部の医療費データ
- ふるさと納税の寄附金受領証明書(自治体による)
3 所得税申告書の様式変更
申告書A・Bが統合され、所得税申告書Bの様式に一本化されています。様々な所得タイプに対応した統一フォーマットとなりました。
備考
医療費控除の明細書、セルフメディケーション税制の明細書など、一部の明細書の様式も更新されています。最新の様式を国税庁ホームページからダウンロードするか、税務署で入手してください。
全ての確定申告に共通して必要な基本書類
確定申告をする際に、どのようなケースでも共通して必要となる基本的な書類について説明します。
確定申告書
2025年は所得税申告書Bの様式のみとなり、以下の項目で構成されています:
- ● 第一表:所得金額、所得控除、税額の計算など
- ● 第二表:所得の内訳、特定の控除の詳細情報など
- ● 第三表:分離課税の所得がある場合
- ● 第四表:損失の繰越控除などを適用する場合
本人確認書類
2025年も引き続き、確定申告にはマイナンバーと本人確認書類の提示または写しの添付が必要です。
マイナンバーカード単体
- マイナンバーと本人確認が1枚で済む
- 窓口提出:提示
- 郵送提出:写しを添付
マイナンバー確認書類 + 本人確認書類
- 通知カードまたは住民票の写し
- 運転免許証、パスポート、健康保険証など
還付金の口座情報
税金の還付を受ける場合には、振込先の銀行口座情報が必要です:
- 銀行名・支店名
- 口座番号
- 口座名義(カタカナ)
※通帳やキャッシュカードのコピーなどで確認できる情報を用意しましょう。口座名義は申告者本人のものに限ります。
注意点
2022年以降、多くの税務署では過去に提出済みの方でも毎回の確認が必要となっています。必ず本人確認書類を用意しましょう。
納税者タイプ別:必要書類リスト
確定申告は、納税者の状況によって必要な書類が異なります。ここでは、主な納税者タイプ別に必要書類をまとめました。
会社員(給与所得者)
基本の必要書類
- 給与の源泉徴収票(原本)
- 各種控除証明書
- マイナンバーカードまたはマイナンバー確認書類と本人確認書類
特定ケースでの追加書類
- ・ 2か所以上から給与を受け取る場合:全ての給与の源泉徴収票
- ・ 年の途中で退職した場合:退職した会社の源泉徴収票
- ・ 医療費控除を受ける場合:医療費控除の明細書
- ・ ふるさと納税をした場合:寄附金受領証明書
- ・ 住宅ローン控除(初年度)を受ける場合:後述の「住宅ローン控除」の項目参照
個人事業主・フリーランス
青色申告の場合
- 青色申告決算書
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 青色申告控除額の計算明細書(65万円控除を選択する場合)
- 事業所得の収支がわかる書類 ※提出不要だが作成に必要
白色申告の場合
- 収支内訳書
- 事業所得の収支がわかる書類 ※提出不要だが作成に必要
年金受給者
- 公的年金等の源泉徴収票
- 各種控除証明書
- マイナンバーカードまたはマイナンバー確認書類と本人確認書類
確定申告が必要な場合
- ・ 年金の収入が400万円を超える場合
- ・ 公的年金以外の所得が20万円を超える場合
- ・ 各種控除(医療費控除など)を受ける場合
年金収入が400万円以下かつ他の所得が20万円以下の場合、確定申告は不要です(一部例外あり)。
不動産所得がある場合
- 収支内訳書または青色申告決算書
- 不動産所得の収支がわかる書類(家賃振込明細、修繕費領収書など)※提出不要だが申告書作成に必要
副業・アルバイト収入がある場合
- 給与明細・支払調書など収入金額がわかるもの
- 副業に関連する経費の証明書類 ※提出不要だが申告書作成に必要
副業収入が20万円を超える場合は確定申告が必要です。20万円以下でも、還付を受けたい場合は申告が可能です。
ポイント
青色申告で65万円の特別控除を受けるには、e-Taxによる申告または電子帳簿保存の要件を満たす必要があります。詳しくは確定申告の提出方法ガイドをご覧ください。
所得の種類別:必要書類リスト
所得の種類によって、確定申告に必要な書類が異なります。ここでは主な所得の種類別に必要書類を解説します。
所得の種類 | 必要書類 | 備考 |
---|---|---|
給与所得 | 給与所得の源泉徴収票(原本) | 2025年からe-Taxを利用する場合は添付不要(マイナポータル連携で自動入力可能) |
事業所得 | 青色申告の場合: 青色申告決算書、貸借対照表、損益計算書 | 65万円控除を受ける場合は、e-Taxまたは電子帳簿保存が必要 |
白色申告の場合: 収支内訳書 | 事業所得の計算に必要な領収書等は提出不要だが、7年間保存が必要 | |
不動産所得 | 収支内訳書または青色申告決算書 | 固定資産税の納税通知書などは参考資料として用意(提出不要) |
譲渡所得 (土地・建物) |
・譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書) ・売買契約書のコピー ・登記事項証明書など(特例適用時) | 特例適用(3,000万円控除など)を受ける場合は追加書類が必要 |
株式等の譲渡 |
・株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書 ・特定口座年間取引報告書 | 特定口座で源泉徴収ありの場合、申告不要。損失の繰越しには申告が必要 |
配当所得 |
・配当の支払通知書 ・上場株式配当等の支払通知書 | 特定口座の源泉徴収あり、または少額配当の場合は申告不要 |
年金所得 | 公的年金等の源泉徴収票 | 年金収入が400万円以下かつ他の所得が20万円以下の場合、申告不要 |
雑所得 |
・収入金額と必要経費がわかる書類 ・業務に係る雑所得の場合で、前々年の収入が1,000万円を超える場合は収支内訳書 | 副業収入、FX取引利益、仮想通貨取引利益などが該当 |
書類の入手方法
源泉徴収票・支払通知書
- ・ 給与所得:勤務先から交付
- ・ 年金所得:年金保険者から交付
- ・ 配当所得:証券会社等から交付
決算書・内訳書様式
- ・ 国税庁ホームページからダウンロード
- ・ 税務署窓口で入手
- ・ 会計ソフトで作成
控除の種類別:必要書類リスト
控除の種類によって必要な書類が異なります。ここでは、主な控除の種類別に必要書類をまとめています。
医療費控除
自己または生計を一にする配偶者その他の親族のために支払った医療費が対象です。
必要書類
- 医療費控除の明細書
- 医療費通知(添付すると明細記載省略可能)
※医療費の領収書は5年間保管が必要ですが、提出は不要です。
セルフメディケーション税制
健康増進や疾病予防のために、一定の市販薬を購入した場合に適用される特例です。
必要書類
- セルフメディケーション税制の明細書
- 健康診断等の証明書類のコピー
※医療費控除との併用はできません。どちらか一方を選択する必要があります。
住宅ローン控除(初年度)
住宅ローンを利用して住宅を取得した場合に適用される控除です。
必要書類
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 住民票の写し(世帯全員が記載されたもの)
- 土地・建物の登記事項証明書(原本)
- 住宅ローンの年末残高証明書(原本)
- 売買契約書または請負契約書のコピー
寄附金控除(ふるさと納税含む)
国や地方公共団体、一定の公益法人等に対する寄附が対象です。
必要書類
- 寄附金の受領証明書(原本)
- 政治献金の場合は選挙管理委員会等の確認印のある「寄附金(税額)控除のための書類」
※ふるさと納税の場合、5自治体以下なら「ワンストップ特例制度」で確定申告不要。
社会保険料控除
国民年金保険料、健康保険料、介護保険料などの社会保険料が対象です。
必要書類
- 社会保険料(国民年金保険料)控除証明書
- 国民健康保険・介護保険料の納付証明書
※年末調整済みのものは添付不要です。給与から天引きされている場合は源泉徴収票で確認できます。
生命保険料・地震保険料控除
生命保険料や地震保険料を支払った場合に受けられる所得控除です。
必要書類
- 生命保険料控除証明書(原本)
- 地震保険料控除証明書(原本)
※年末調整済みのものは添付不要です。e-Taxの場合、マイナポータル連携で自動入力可能な場合があります。
雑損控除
災害や盗難、横領などによって資産に損害を受けた場合に適用される控除です。
必要書類
- ・ 災害等により被害を受けた資産の明細書
- ・ 被害額の計算書
- ・ 被害を受けた資産の確認資料(被災証明書など)
- ・ 災害等に関連してやむを得ない支出をした金額の領収書
配偶者控除・扶養控除
配偶者や扶養親族がいる場合に適用される控除です。
必要書類
- ・ 配偶者や扶養親族のマイナンバー
- ・ 国外居住の親族の場合:親族関係書類と送金関係書類(38万円以上)
- ・ 外国語で作成されている場合は翻訳文も必要
注意点
マイナポータル連携を利用しても、住宅ローン控除に必要な書類は原則として全て添付が必要です。初年度の住宅ローン控除の場合は、必ず事前に必要書類を確認してください。
e-Taxで提出する場合の書類の取り扱い
e-Taxで確定申告を行う場合、多くの添付書類を省略できます。ここでは、e-Tax利用時の書類の取り扱いについて説明します。
e-Taxで添付が省略できる主な書類
- 給与所得の源泉徴収票
- 公的年金等の源泉徴収票
- 国民年金保険料や国民健康保険料などの社会保険料の控除証明書(マイナポータル連携の場合)
- 生命保険料、地震保険料の控除証明書(マイナポータル連携の場合)
- 上場株式等の特定口座年間取引報告書
e-Taxでも添付が必要な主な書類
- 住宅ローン控除に関する証明書類
- 雑損控除の証明書類
- 寄附金控除の証明書類(一部の自治体を除く)
- 医療費控除の明細書(医療費の領収書自体は添付不要)
マイナポータル連携の活用方法
マイナポータル連携を利用すると、次のようなデータを自動取得できます:
連携できる主なデータ
- 給与所得の源泉徴収票データ
- 公的年金等の源泉徴収票データ
- 医療費通知データ(健康保険組合等発行)
- 一部の生命保険料・地震保険料の控除証明書データ
- ふるさと納税の寄附金控除データ(自治体により対応状況が異なる)
利用方法
- 1 マイナンバーカードを準備
- 2 国税庁「確定申告書等作成コーナー」からマイナポータル連携を選択
- 3 マイナポータルアプリを用いてマイナンバーカードを読み取り
- 4 取得したいデータを選択して自動入力
活用ポイント
マイナポータル連携を利用すると、入力ミスの防止と作業時間の短縮が可能です。特に複数の源泉徴収票や多数の医療費がある場合に効果的です。
e-Tax利用時の書類提出方法(添付が必要な場合)
イメージデータによる提出
- ・ 書類をスキャナーやスマートフォンで電子化(PDF等)
- ・ e-Tax送信時に電子データを添付
- ・ 1ファイル当たり最大8MB、全体で32MBまで
郵送による提出(別送)
- ・ e-Tax送信後に表示される「送信票」を印刷
- ・ 送信票と書類原本を税務署に郵送
- ・ 送付期限:e-Tax送信から3日以内が目安
書類の整理・保管方法
確定申告のための書類を効率的に整理・保管する方法をご紹介します。
書類整理のコツ
分類方法
1. 所得関連の書類
- ・ 給与の源泉徴収票
- ・ 事業収入の領収書
- ・ 不動産収入の証明書 など
2. 控除関連の書類
- ・ 医療費の領収書・明細書
- ・ 社会保険料控除の証明書
- ・ 生命保険料控除の証明書 など
3. 資産関連の書類
- ・ 株式・投資信託の取引報告書
- ・ 不動産の売買契約書
- ・ 相続・贈与の書類 など
整理のポイント
- 年度別にファイルを分ける
- 所得の種類・控除の種類ごとに仕切りを設ける
- クリアファイルやフォルダを活用する
- 電子データは整理してバックアップを取る
保存期間と方法
税務関連書類の法定保存期間
デジタル化のメリットと注意点
デジタル保存の方法
- ・ スキャナーやスマートフォンでスキャン
- ・ クラウドストレージに保存
- ・ 会計ソフトと連携させる
デジタル保存のメリット
- ・ 物理的なスペースを取らない
- ・ 検索機能で素早く書類を見つけられる
- ・ バックアップを取れば紛失リスクが減少
- ・ ペーパーレス化で環境にやさしい
注意点
確定申告に関する書類は、税務調査があった場合に必要になります。特に、事業所得や不動産所得がある場合は、帳簿や領収書の保存は非常に重要です。
よくある質問と回答
Q 確定申告書の控えに収受印がもらえなくなったと聞きましたが、提出の証明はどうすればいいですか?
A 2025年1月から収受印の押印が廃止されました。提出の証明には以下の方法があります:
- ・ 特定記録郵便や簡易書留などを利用
- ・ e-Taxを利用する(受信通知で確認可能)
- ・ 自分で控えに提出日を記録
Q 源泉徴収票を紛失しました。どうすればいいですか?
A 勤務先に再発行を依頼しましょう。再発行が難しい場合は、給与明細書や給与支払証明書などの代替書類で申告できる場合があります。不明な点は税務署に相談してください。
Q 医療費の領収書は提出する必要がありますか?
A 医療費の領収書自体の提出は不要ですが、「医療費控除の明細書」の添付が必要です。ただし、領収書は自宅で5年間保管する必要があります。
Q 確定申告に関する書類はどのくらいの期間保管すべきですか?
A 一般的に以下の期間の保管が推奨されます:
- ・ 確定申告書の控え:最低5年間(還付申告の時効)
- ・ 青色申告の帳簿書類:7年間
- ・ 証明書類・領収書:5年間
Q 住宅ローン控除は2年目以降、何か書類を提出する必要がありますか?
A 2年目以降は、住宅ローンの年末残高証明書の添付が主に必要です。給与所得者の場合、2年目以降は年末調整でも控除を受けられますが、その場合は勤務先に年末残高証明書を提出します。
Q ふるさと納税のワンストップ特例制度を利用している場合、確定申告で書類を提出する必要はありますか?
A ワンストップ特例制度を正しく利用している場合(寄附先が5自治体以下で、必要書類を提出済み)は、確定申告で改めて書類を提出する必要はありません。ただし、確定申告が必要な他の要件に該当する場合は、ふるさと納税も含めて申告する必要があります。
まとめ:確定申告書類準備のチェックリスト
確定申告に必要な書類を漏れなく準備するためのチェックリストです。自分の状況に合わせて活用してください。
基本書類チェックリスト
- 確定申告書(第一表・第二表)
- マイナンバーカードまたはマイナンバー確認書類と本人確認書類
- 還付金受取口座の情報
所得別チェックリスト
給与所得
- 給与所得の源泉徴収票(全ての勤務先分)
事業所得
- 青色申告決算書または収支内訳書
- 収入・経費の証明書類(作成時に必要、提出不要)
不動産所得
- 収支内訳書または青色申告決算書
- 収入・経費の証明書類(作成時に必要、提出不要)
控除別チェックリスト
医療費控除
- 医療費控除の明細書
- 医療費通知(ある場合)
住宅ローン控除(初年度)
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 住民票の写し
- 登記事項証明書
- 住宅ローンの年末残高証明書
提出前の最終チェック
- 記入漏れがないか確認(特にマイナンバー、署名)
- 計算誤りがないか確認
- 必要な添付書類がすべて揃っているか確認
- 控えを準備(提出用とは別に保管用を用意)
- e-Tax利用の場合はデータのバックアップを取る
確定申告の書類準備は、早めに取り掛かることが大切です。このガイドを参考に、計画的に準備を進めましょう。また、不明な点がある場合は、所轄の税務署または税理士に相談することをおすすめします。
確定申告の提出方法については、確定申告の提出方法ガイドで詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
※本記事の情報は2025年4月2日時点のものです。最新情報は国税庁の公式ウェブサイトでご確認ください。